いつもの週末。
金曜の夜から一人暮らしのスザクのマンションに行き、炊事や洗濯をして過ごす。
スザク曰く、『通い妻だね』だそうだが…
否定は出来ないかも…
でも、まだ結婚とか真剣に考えれないし…
そりゃあ結婚出来たら嬉しいけど…
そんな事を考えながらタオルに付けた液体石鹸を泡立てる。
実は今はバスタイムの最中だ。
スザクがバイトから帰って来るのは遅いから、私は先に寝ていろと言われている。
いつもそうだ。
バイトがある日は遅くなるから寝ててって…
帰りを待って居たいのに、許してくれないんだもの。
さてと…
体も洗い終わったし、湯船に浸かるかな。
泡を全て洗い流し、バスタブに足を入れる。
バスタブは大きくないけれど、でも気にならない。
それに最近ちょっと気に入った事が出来たんだ。
私はバスタブに完全に体を沈め、わざとその上に蓋をする。
勿論お湯は溺れない程度に調節して溜めてある。
蓋をすれば、外の音は遮断され、聞こえて来るのは自分で水を触った音や、呼吸をする音ぐらいになるから、それが妙に心地好い…
目を閉じ、耳を澄ます。
暖かいお湯が全身を包み、丸まって居るせいか、まるで母親の胎内にでも戻った気分だ。
胎児の時の記憶なんて全くないけど、でも安心するのはきっと何処かに懐かしさがあるからだろうか…
母親…か…
スザクも私も、幼い時に母親を亡くしてるから母親の記憶なんてあまり無い…
いつか本当にスザクと結婚して、私も母親になるのか?
ちゃんと出来るのかな、子育てが。
生まれた子が女の子だったら、スザクが甘やかしそうかも。
私はそんな想像をして、思わずクスリと笑ってしまう。
「ルルーシュ!?何してんの!?」
突然パタパタとした足音が浴室に近付いてきたと思ったら、勢いよく浴槽の蓋を外された。
「なっ!?何するんだっ!!?」
「それは此方が知りたいよ。たまには早く帰って来ようと思って帰ってきたら部屋に君が居ないし、
お風呂に灯りが就いてるけど、お風呂から物音1つしないんだもん。
もしかしてお風呂で倒れてるんじゃないかって心配しちゃっただけだよ」
心配してくれたらしく、スザクの顔は私の姿を見るなり安堵の色を見せた。
「済まなかったな…」
「ううん。ルルーシュが無事なら良いよ。でも、たまには一緒にお風呂入っても良い?」
恥ずかしいけど、心配を掛けてしまったお詫びもあり、私は小さくコクリと頷いた。
「じゃあ服脱いでくるね」
スザクはそう言うと脱衣場へと戻っていった。
スザクの髪をたまには洗ってあげようかなぁ…
そんな事を考えながら、私はスザクを待つのだった。
まだまだ未来は見えないし、不安と期待も両方あるけど、今みたいに幸せなら、それが一番良い…
=END=
**あとがき**
浴槽の蓋を閉めて目を閉じるのは私の癖です。
なんて事をルルにさせてんだとか言われそう(^^;
暗い過去の無い奴等は奴等じゃない!が持論ですが、女の子だったら幸せにして
あげたいじゃないですか!!と言う希望により、普通の世界で、普通に学園生活
をし、普通に大学生になっていたらって妄想です。
(ruiはおんにゃのこが大好きです。基本はおんにゃのこ至上主義です)
09.0419